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カテ室に必要なものは安全性とスムーズな意思疎通


大阪府済生会中津病院 循環器内科

副院長 木島 洋一 先生
部長 名越 良治 先生
副部長 上月 周 先生

 JR大阪駅の改札を出て地下鉄御堂筋線方面へと進む。目の前に現れる空中回廊を歩き,商業施設が入ったきれ いなビルの中を通過して地上に降りると,大阪府済生会 中津病院にたどり着く。中津病院は大正 5(1916)年に 設立された,100 年を超える歴史のある病院だ。全国の 済生会病院の歴史を遡ると,最初に横浜の神奈川県病院 が第 1 号として大正 2 年に開設され,芝病院(現在の東 京・中央病院)が第 2 号,大阪府病院(現在の中津病院) は第 3 号としてできた,済生会病院の中で 3 番目に古い 歴史を持つ病院なのだそうだ。「施薬救療の精神(恵まれ ない人々のために施薬救療によって生活困窮者を救済し よう)」の目的で明治 44(1911)年に明治天皇が設立し た済生会は,生活困窮者支援の積極的推進・最新医療に よる地域貢献・シームレスな医療と福祉という 3 つの目 標を掲げ,活動を続けている。今回は副院長の木島先生 と循環器内科部長の名越先生,副部長の上月先生に中津 病院のカテ室での取り組みなどを伺った。
 
 まず,木島先生にカテ室の環境を整えるための工夫に ついて伺うと,「カテ室では安全性が全てだと考えているので,カテを全員で見れるような環境を整えることに 留意しています」という答えが返ってきた。安全性確保 のためには,スタッフ全員の意思疎通が重要になってく るということだ。加えて,センターとしてカテ室の状況 を見守ることができるシステム作りを目指したとのこと だ。「今までは,同じ病院の中なのに隣のカテ室の状況さ えつかみにくかったのですが,モニタリングルームを 作ってからは手技そのものや進行具合も分かるので,次 のアクションを見定めやすくなったと思います」と木島 先生。患者さんの入れ替えひとつにしても,医者だけで はなく,コメディカルが一緒になって考えることで時間 のロスが減る。「いちいち離れた場所まで行って相談す ることがなくなって,モニタリングルームができる前の 状況がいかに問題だったかがよく分かりました」と木島 先生は振り返り,「カテ室の状況をモニタリングルーム で即座に把握できる映像を,どのように集約するかが頭 の使いどころです。配線もそうですが,アンギオ装置は 透視・リファレンス画像や IVUS,OCT も含めた周辺機 器の映像を集約して 1 ヵ所に集めることができるシステ ムが重要ですね」と続けた。
 
 新規導入である Trinias の使い勝手について名越先生 に伺ってみたところ,導入当初は装置の特徴を捉えきれ ずにいたが,使ってみるとしっかりした血管造影装置だと感じたそうだ。名越先生が感じる一番の特徴は AI (SCORE Opera)だ。「Trinias には AI 画像処理が搭載 されており,低線量でしっかりした画像を構築できてい ます。また,線量をコントロールするインターフェース もタッチパネルからワンタッチで選択でき,きめ細かい 線量コントロールが可能です。そのあたり,患者さんにも術者にも優しい装置だと感じています」と感想を述べ た。また,基本的にバイプレーンを使う名越先生は,造 影剤を減らせるバイプレーン装置自体が持つメリットに 加えて,手技時間の低減について言及した。手技では異なる2つの角度で見たい病変が多い場合は,バイプレーンで見たい位置に合わせておけばいちいち動かす必要がないということだ。
 
 上月先生も名越先生と同様,Trinias に搭載されてい る AI についてその効果を評価している。Trinias では従 来と同じ治療を施行しても低線量であるため,患者さん にも医療従事者にとってもメリットが大きいということだ。また,Trinias は従来の装置よりも動作速度が速く なった。この点について上月先生はかなり好印象を持っ ている。先生はバイプレーンとシングルプレーンを同じ 治療の中で使い分けるという。最初に撮影するときはバ イプレーンを使い,治療の途中で術野を広く使うために シングルプレーンとして使うことが多いそうだ。そして 最後の撮影ではまたバイプレーンに戻す。「C アームの 入れ替えが従来の機械より圧倒的に速くて,手技がシン プルでスピーディーになりました」と先生は喜んでいる。 スタッフはカテ室の業務に慣れているものの,動作が速 くなったことで危険なことが起こらないよう,注意を払うことを欠かさないとも付け加えた。C アームの動かし 方は症例によってある程度特性があるそうなので,中津病院では術者が指示を出してスタッフ全員で共有していくスタイルをとっている。
 
 Trinias OPERA にはさまざまな手技支援アプリケーションが搭載されているが,名越先生は静止画の SCORE StentShot,上月先生は動画の SCORE Stent- View をよく使っている。どちらもしっかりとステントの状態を把握することができるので手放せないとのこ と。この他,EVT にも積極的にかかわっている上月先生 は,動きに強い DSA として評判の SCORE RSM,自動 長尺機能で下肢全域を見やすくする SCORE Chase を EVT の際には必ず使用する。「これらの機能は本当に重 宝します。特に SCORE Chase はピークホールドを出すのも非常に短時間ですから,治療をスピーディーに進められますし,コメディカルの負担がかなり軽減されま す」と付け加えた。Trinias には施設で利用するアプリケーションを年間契約することでそのつど最新にアップ デートできる SCORE Link アプリケーションプラットフォームがある。毎年更新のたびに中身を見直すことができ,現状の施設での手技に柔軟に対応できる。病院経営にも深くかかわる木島先生はその点もアンギオ装置導入の動機の1つになりうると考える。

 

 カテ室の環境は各種の装置や機材だけでなく,医師の 働き方によっても変化する。木島先生は「さすがに想定 外の緊急患者が毎日続くと超過勤務になることも考えら れるので,総勤務時間は人的資源の確保など,多くの ファクターから考えていくようにしています」と勤務時 間の調整の難しさを語った。現場の感覚を名越先生に 伺ってみると,「働き方改革を順守するとなると,今の医 療体制では難しいでしょう」との答えが返ってきた。上月先生にしても,働き方改革は難しいと感じている。中 津病院では,例えば術者が 1 人であとはコメディカルだ けで治療をするということをしていない。必ず補助に医 師が付く。正しい良い術者になるためには経験と理解が 必須で,いきなり一人で治療ができるようになるわけは ない。もちろん,時間内に終了するために治療を省略す るなどということは論外だ。「全員で患者さんや症例の 情報を共有すれば,適切な治療時間は設定できます。当 院では検査や術前診断をしっかり行った状態で,治療時 間を推定して最適なスケジュールを組むようにしていま す」と,上月先生はスムーズにカテ室業務を進めるための工夫を教えてくれた。働き方改革が始まったからと いって医療従事者の人数が増えるわけではないので,治療における時間削減や動線などの最適化は検討すべき点の筆頭と言えよう。
 
 病院全体の舵取りに携わる木島先生は,済生会中津病 院のカラーを大切にしていきたいと考えている。ただ, それを求めるあまり不採算部門が多くなっては元も子も ない。「病床編成は簡単に変えられないので,長期的かつ 綿密な計画が重要だと思います」という木島先生は,健 全な病院経営のために柔軟性をもった空床管理や入退院 システムの簡素化などに取り組んでいくことに考えを巡 らせる。そして中津病院が紹介先として真っ先に選ばれ るに値する病院であることをアピールして地域との繋が りをさらに強固にしていくとのことだ。循環器内科を中 心的に見ている名越先生は,病院としてのカテーテル治 療の技術のレベルアップを一番の目標にしている。「近 隣に素晴らしい病院も多くあるので,医師の技術や技量 を上げて,最終的にその成果として症例数の増加につな がってほしいですね」とのことだ。上月先生はいかに安 全に治療を進めていくかが何よりも重要だと考えを述べ た。そして「安全がしっかりと担保されているカテ室を 当院の強みとしたいです。技術も日本トップクラスの手 技を身につけることも大切です。常に研鑽に努めて,中津病院で治療できなかったらどこに行っても治療できな いというぐらいのレベルを維持していきたいです」と抱 負を述べた。
 
 歴史ある施設で最先端の循環器治療を。それが大阪府
済生会中津病院である。


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