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カテ室マネージメントの極意


耳原総合病院 循環器内科

石原昭三先生

「一番大事なことは,誰もが自分の意見を気兼ねなく言える職場であるかです」。これこそが石原先生のカテ室マネージメントの根本である。診療・治療のさまざまなプロセスの情報をチームスタッフ全員で共有し,意見があれば出す。「患者さんの氏名から始まり,予定している治療内容,検査結果,治療過程に至るまで詳しく共有することで患者さんの安全を確保しています」と先生は 言う。そのためにも,何か気が付いたことがあれば必ず発言できる「場」を作ることは大切だ。せっかくチームで治療しているのに変な忖度が生じることで,気が付いているにもかかわらず意見を出すことができなければ,いざトラブルが起こった時に回避できない可能性がありうる。

誰もが意見を言えるということは,誰もが自身の言葉に責任を持つということでもある。「意見を言えなければ言われたことしかできない・しない,ということになってしまいがちですよね」と石原先生。術者にしろ,手技をサポートする側にしろ,スタッフ全員が一致団結して事に当たるのがチーム医療,言い換えれば組織の動きである。組織にはスーパースターが1人いても常に良い結果につながるとは言えない。一方,スーパースターがいることで権威主義的な状況に陥る可能性がある。スーパースターがいる間はいいかもしれないが,いなくなったとたん立ち行かなくなるのであればそれは組織とは言えないかもしれない。治療を成功させるためにカテ室はある。チームが常に集中し目線を揃えることが何よりも大切で,そのために耳原総合病院では,治療を終了する前にスタッフ全員が手を止めて,問題がないか最終確認を行なっている。その場で術者,スタッフ関係なく全員に対して,手技に関して気になることがなかったかを聞く時間を作っている。

4月から働き方改革がスタートし,経営側の視点からどう感じているかを伺ったところ,「それはもう大変です」と即答された。医師の社会的・健康的な生活をする権利を守るという名目のもとに,今までできていたことができなくなる可能性もある。医療保険制度が危機的状況にあると言われている現在,急性期診療をある程度集約をしていきたいという国の方針も分からなくもない。 ただそれによって,救急診療はどうしてもやりにくくな
る。また,医師という職業にやりがいを感じ,納得して働いている者にとってはどうか。そもそも夜勤や救急が負担に感じている医師は,すでにそういった業務がない診療科を選んでいるのではないか。石原先生もそうだが,病院の管理者にとっては,働き方改革にもう少し柔軟性を持たせてほしいと感じているのではないだろうか。特に命と直接向き合う急性期というフィールドで奮闘している先生方が納得できるような制度であってほしいと,個人的に思う。「10 年後に働き方改革のおかげで 医者の仕事がより良くなったと言える日が来ればよいですね。医療は患者さんの切なる要望から行われる行為です。時間やルールで切り捨てられないことが多すぎて,事業として成立させつつ患者さんを救うためにはどう立ち回ればよいか,悩まされることが多々ありますね」と石原先生は言う。

耳原総合病院のTrinias series with SCORE Operaのバイプレーンシステムは西日本で最も早く導入された1台である。元来低被ばくをコンセプトとして開発されたTriniasシリーズだが,Operaはさらなる低被ばくを目指して開発された。だが先生が強調するのはそこではない。システム全体の動作速度が非常に速く,かつスムーズなことだ。「従来よりも非常に速くなりました」と先生は前置きし,導入されたバイプレーンのOpera はCアームを動かすことにストレスを感じにくい装置になったと続けた。ちなみになぜバイプレーンを導入したのかをうかがってみると,バイプレーンの持つメリットが圧倒的に多いからだという答えが返ってきた。「まずは造影剤を減らすことができます。特に高齢者においては腎機能に影響する造影剤の使用量を減らしたいので,バイプレーンは間違いなく患者さんにとって優しい装置です。また,バイプレーンはCアームの位置決めに時間がかかるうえ操作が煩雑になりやすく,バイプレーンで手技を行うこと自体面倒だと感じている施設もあるようです。今回導入したTrinias series with SCORE Operaのバイプレーンシステムは従来システムと比べても動作が速くなっており,ポジショニングもタッチパネルにあるダイレクトメモリボタンから簡単に選択できるので,使い勝手の面でも従来からとても良くなったと感じています」と石原先生は言う。耳原総合病院では心臓領域の多くはバイプレーンを使用しているが,PCIの際には開始時と最終の造影時はバイプレーン,手技中はシングルプレーンと柔軟に切り替えて対応している。その際にOperaの素早いシステム切り替えやCアーム動作速度が効果を発揮している。「使い分けをすればよいだけです。面倒だったり使い勝手が悪いからといってバイプレーンを使わずシングルプレーンで済ますことで少しでも造影剤を増やすのは,患者さんには優しくないと思いますね」と石原先生。

Trinias には,SCORE OperaというAI技術を使い開発したアプリケーション画像処理が搭載されている。従来の画像処理にさらにAIを導入することで,低線量下でも十分なデバイス視認性を保持している。また,ユーザによる線量コントロールも容易に行うことができ,操作感も良い。【画像診断における AI 活用】は医療機器開発の世界的トレンドの中でも注目度の高い部分であり,画質のさらなる進化に石原先生は期待を込めている。「われわれは治療対象としているものだけ見たいという,非常に難しい要求をしているのですが,島津製作所が可能な かぎり応えようとしてくれているのは肌で感じます」とメーカーサイドの気概を感じている。

「繰り返しになってしまいますが」と前置きし,誰もがいつでも意見を言うことができるカテ室を作りたいと石原先生は改めて言う。カテ室の空気感が一つにまとめられれば治療の質は高くなり,結果として治療を受けた患者さんの満足度が高まる。患者さんの満足度が高くなれば,口コミで病院そのものの評価も高まる。医療を提供する側のモチベーションも高まる。「医師,特に若手医師が耳原総合病院で働きたいと思ってもらいたいのです。 医療従事者の想いが一つになって,誰もが自然体で仕事ができればより働きやすい環境になると思うのです」と石原先生は続ける。チーム医療が継続的にうまく回っていくには,チームの在り方を理解している後継者を育てることが理想的だ。若手医師が増えることは病院の将来に大きく影響を及ぼす。病院の将来を考えたとき,耳原総合病院の医療を継承し続けていくために若手医師を集め,育てたいと考える石原先生。2024年,先生が耳原総合病院に赴任してから15年が経ち,着任時は医師4人体制であったが,今ではスタッフ医7人に加えて毎年専攻医を受け入れる循環器チームとなった。カテ室は,15年間でインターベンション治療数は大きく増加し,治療の幅も広がった。地域からの厚い信頼を寄せられる耳原総合病院は活気に満ちている。


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