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カテーテル治療のすばらしさは不変


戸田中央総合病院 心臓血管センター内科

小堀裕一先生

戸田中央総合病院は,首都圏で医療から福祉まで幅広く活動している戸田メディカルケアグループ(TMG)の中枢である。戸田市は都心からほど近いものの市民病院はなく,戸田中央総合病院が地域の中核病院として市民からの大きな信頼を集めている。今回は心臓血管センター内科の小堀裕一先生にカテ室運営の実際としてお話をいただいた。

カテ室を運営していくうえで小堀先生が最も重要視しているのは,チームワークの整理だという。「特に,医者とメディカルスタッフとのコミュニケーションには常に気を配っています。カテ室の中の雰囲気が良くなれば,不必要に萎縮するようなこともなくなりますし,いろいろなフィードバックが入るようにしていますね」と小堀先生は言う。インターベンション治療はチームワークで進めていく治療であるため,誰もが働きやすい環境づくりが何よりも大切だと小堀先生は考えている。ただし,ただ和気あいあいとしているのではなく,各々がそれぞれのスペシャリストとしてふるまい,意見も出し合って仕事を進めていく。働きがいのある職場と言えよう。スタッフも信頼されていることを実感できるため,高いモチベーションで研鑽を積んでいく。実際,TMGが持つ29の病院をはじめ,合計119ヵ所の関連事業所にこの病院で育った人財が多く配属されていく。「私は手取り足取り指導するというスタンスではありません。というのも,彼らは自分で気付いてしっかり育っていくのですね」と小堀先生。疑問に思ったことを気後れすることなく,いつでも確認できる環境整備。これこそが小堀先生が考えるカテ室の回し方なのだ。

当初は循環器内科を目指していたわけではなかったという小堀先生。ところがインターンでインターベンション治療の効果を目の当たりにし,やるからにはやりがいのあることをしたいという気持ちに火が付いた。先生は「医療を行っているという実感は,言葉には表せないほどです。循環器内科,特にカテーテル治療を専門してから,この道を一度も後悔したことはありません」と満足感と充実感を表す。どの診療科を目指すかは個人の考え方によるが,自分自身が一番満足できて,納得できる診療科を目指せば幸せな医師人生を送ることができる。おそらくこれが小堀先生の根底にある考え方なのだろう。先生が初めてカテーテル治療に出会ってから約20年が経過したが,モチベーションと充実感は色あせない。先生にとってこの治療はまさに天職なのだろう。

PCI の世界を見てみればストラテジーの標準化が進み,新しいデバイスが話題に上がることもめっきり減ってしまった。小堀先生がインターベンションの世界に足を踏み入れた20年前といえば,ちょうど薬剤溶出性ステント(DES)が登場し,インターベンション治療に大きな変革が起こった頃である。当時のDESの衝撃を振り返りつつ,今は超長期の成績に関して考えるところもある という小堀先生。今後は体内に異物を残さない治療が主流になってくるのだろうと先生は感じているが,一方で新しい視点で作られたデバイスが出てきたら使ってみたいともいう。20年間で進化したのは治療デバイスだけではない。診断デバイスの進歩も大きなトピックである。インターベンション治療を支える血管造影装置の進化は目覚ましいと先生は語る。

戸田中央総合病院は2023年の9月に島津製作所製のTriniasを導入した。システムはバイプレーンである。戸田中央総合病院ではPCIのほかアブレーションでもTri-niasのバイプレーンを利用している。一方,PCIにおいても造影剤が制限される症例ではバイプレーンを積極利用しているという。ただ,小堀先生自身はバイプレーンにこだわっているわけではなく,必要に応じてバイプレーンとシングルプレーンを使い分けるというスタンスのようだ。「発売したばかりの新しい機械なので以前使用していた装置よりももちろん良いのは当然なのですが,特にテーブルサイドのタッチパネル(SMART Touch)の操作性は術者としても煩わしさがなく,使いたい機能がお気に入り登録のようにわかりやすく配置されています。これまで,技師さんや助手の先生にいちいちお願いしていた操作も手元でワンタッチで操作できる点が検査の効率化を促進してくれていると思います。また,画像を操作するコントローラがダイヤル式になっており,PCI時にキーとなるリファレンス画像の1コマずつの選択がストレスなく行える点も術者としてはありがたいです。」と先生の言葉には実感がこもっていた。さらに装置自体の稼働もスピーディーで,もたつくことがない。カテ室業務の中では小さなことかもしれないが,その小さなストレス軽減の積み重ねが大きな効果につながっていく。

Trinias ではアプリケーションやソフトウェアを定額で毎年更新可能なSCORE Linkというプラットフォームを有している。必要な機能がパッケージングされた,年間契約可能な仕組みである。1年目はほぼすべての機能が使用でき,翌年からよく使う機能や必要なソフトのパッケージを選択する仕組みだ。「使うアプリは10年以上使いますし,できれば最新のバージョンでいつまでも使い続けたいというのがユーザの思いです。その思いをTriniasでは実現してくれていると思います。」と小堀先生も期待を寄せている。

「装置自体に何かトラブルが起きてもすぐに復帰してもらえる安心感がありますよね」と,先生は島津製作所のサービス体制にも信頼を置いている。決して安い買い物ではない血管造影装置だからこそ,病院としてもできるだけ長く使うことを考え,納得できる装置を導入したい。迅速で綿密なサービスを期待できるということは,装置選択時の加点ポイントになるのは間違いない。

今年から始まった医師の働き方改革について感想を伺ったところ,戸田中央総合病院では大きな問題が顕在化してきているといったことは今のところないそうだ。
「今では医師のほうも働くということに関しての概念が変わってきているのかもしれませんね」と小堀先生。患者さんがいるのに医療行為を終了しなければいけないという場面も出てくるかもしれないが,時間をうまく使って効率的に立ち回れば,多くの場合は対応できると小堀先生は考えている。「本院はどちらかというと人的資源に恵まれているので」と前置きしつつ,夜間の救急にしても病院でうまく調整できると信じていると続けた。働きやすい環境であれば,人間は満足のいく仕事ができる。小堀先生の働き方に対する向き合い方は「人はどう働き,どう満足していくか」という普遍的な命題に対するものなのかもしれない。そして人が定着するというところに答えがある。

「患者さんが一人でもいたら断りたくないのです。だから私が次にやるべきことは,この分野で培ってきたことを後進に伝えていくことなのだと感じています」と小堀先生は言う。自分自身が感じたインターベンション治療の素晴らしさ,やりがいを若手医師にも感じてほしい。穏やかな語り口の中に時折見せる熱意が印象的だった。


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