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大阪けいさつ病院のAVC: 循環器治療の未来を切り開くチームづくり


大阪けいさつ病院 大阪国際メディカル&サイエンスセンター

心臓血管外科 部長 倉谷 徹 先生
循環器内科 部長 飯田 修 先生

大阪けいさつ病院の Aortic and Vascular Center (AVC)は,循環器内科と心臓血管外科の垣根を超えた画 期的なチーム医療を実践しています。本インタビューで は,AVC を率いる倉谷 徹先生と飯田 修先生に,チームの成り立ちからハイブリッド手術室の現状と未来,そし て循環器治療の展望について語っていただきました。特に注目すべきは,内科と外科の垣根を低くし,お互いの 強みを活かした治療アプローチと,最新のハイブリッド手術室を活用した先進的な医療の実践です。

1. 大阪けいさつ病院のハイブリッド手術室は海外施設並み

――まず,大阪けいさつ病院のハイブリッド手術室について教えてください。
 

倉谷 当院にはハイブリッド手術室が 3 室あります。整 形外科用が1室,そしてわれわれAVCが使用している2 室では,EVT,大動脈の治療,アブレーション,TAVI な どに対応しています。
 
飯田 ハイブリッド手術室が 3 室ある病院は,日本でも 稀だと思います。これは海外の高度医療施設に匹敵する レベルですね。
 

2. AVC という「垣根を越えた」新しい医療モデル

――AVC というチームの成り立ちや考え方についてお 聞かせください。
 
倉谷 AVC は,これまで連携が少なかった心臓外科と循 環器内科が協力し,「心臓から足先まで」を一貫して治療するために立ち上げたチームです。従来の縦割り構造を超えて,領域を横断する取り組みとして始まりました。
 
飯田 内科と外科の垣根を下げ,それぞれの強みを活か しつつ弱点を補完し合う。まさに「一緒に手術を行う チーム」です。個々の専門性を融合させる,非常に現代的な取り組みだと思います。

 

「テーブルはチルト,ローリングもあり強度も十分です。TEAVR, EAVR,TAVI を施工するうえで何ら問題ない。むしろ C アームとの こまやかな連携やテーブルのフローティングなどを考えるとこち らの方がスムーズに使える」と倉谷先生。実際の手術においても, 何ら不都合は感じないとのこと。
 

「循環器内科でのカテーテル治療はベッドと透視を自分で動かしていくスタイルですが,ハイブリッド手術室の Trinias にセットされ ているベッドは完全にカテ台です」と飯田先生。手術台だと思っ たことは一度もないという。
 
 

3. ハイブリッド手術室の技術と進化,そして課題

 
――ハイブリッド手術室の技術的な特長や,手術台(患者 テーブル)に関するこだわりについても教えてください。
 
倉谷 私が研修医の頃からハイブリッド手術はありまし たが,やはり重要なのは「手術室としてきちんと設計さ れた設備」であることです。例えば,透視をモバイル装 置で代用すると放射線量が非常に高くなる。だからこ そ,据え置き型のアンギオ装置は絶対に必要なのです。
 
飯田 その点,Trinias の患者テーブルは非常に優れて います。使っていて通常のカテ台との違いは全く感じま せんね。ボイスコントロール機能もあり,まさに “ 未来感 ” があります。高速な手技にも対応できるようなシス テムに進化していくことを期待しています。
 
倉谷 単に C アームと手術台を組み合わせたシステムだ と,どうしても動きの制限を受けロックがかかり易かったり,フローティング機能が無い場合は,カテーテル治療をするうえで非常にストレスを感じることが多いで す。私としては,Trinias はフローティングなどカテ台としての機能を当然有しながら,チルト,ローテーション機能をしっかりと備えた手術台だと思って使っています。
 
――では,ハイブリッド手術室における課題はありますか?
 
飯田 装備や環境面では不満は全くありません。「なん でもできる」空間です。
 
倉谷 ただし,運用面については課題があると思います。ハイブリッド手術室は手術室のシステムで動いているの で,患者の受け入れスピードはカテ室よりも遅くなってしまう。これは今後の議論の焦点になるでしょうね。
 

4. 手術の低侵襲化とハイブリッド手術室の未来

 

――今後,ハイブリッド手術室の役割はどう変わっていくと思われますか?
 

飯田 手術は全体的に「低侵襲化」の流れにあって,カ テーテル治療の重要性はどんどん増していきます。内科 と外科が協力する AVC のようなチームは,今後さらに 求められるようになるはずです。
 
倉谷 2~3年後には,上行大動脈に対するステントグ ラフトが登場すると言われています。これによって,大 動脈解離もほぼカテーテルでカバーできるようになるで しょう。5~10 年後には,約 90%がカテーテル治療にな ると私は見ています。
 
飯田 日本では現在,腹部ステントグラフトの比率が約 65~66%だそうです。中国やアメリカではすでに90%に達しています。この流れの中で,内科と外科が「治療のパイを奪い合う」のではなく,協力する姿勢が重要ですね。
 

5. ハイブリッド手術の「過渡期」にある今,問われる内外連携

 

――今後,内科と外科の役割分担や協力体制はどう変化していくでしょうか?
 

飯田 循環器の救急では,急性心筋梗塞に次いで多いの が大動脈疾患です。大動脈解離や瘤の破裂など,いつ発生するか分からない疾患に対しても,内外で事前に役割 を理解し合っていれば,術前のリスク管理や術中の対応 もスムーズになります。
 
倉谷 現状では,大動脈解離の初動は外科が呼ばれます が,5 年後には循環器内科のホットラインが主導になる かもしれません。内科の医師がステントグラフトの技術 を持てば,カテーテルだけで全てを治療できる日も遠く はない。外科としても,その変化を受け止め,役割を見 直す必要があると感じています。
 
飯田 まさに「考え方次第」ですね。変化に適応できる チームが,これからの医療を担っていくのだと思います。
 

まとめ

 大阪けいさつ病院のハイブリッド手術室は単なる設備の充実だけでなく,「内科と外科が共に治療する」という 新たな価値観のもとで動いています。これからの医療は
「科と科の垣根を越える治療を模索する」ことがカギにな るのかもしれません。経カテーテル的大動脈弁置換術実 施施設基準ができて 13 年経つ現在,ハイブリッド手術 室は過渡期を迎えています。可能性は更に大きく広がっ ていると言えるのではないでしょうか。


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